台風やゲリラ豪雨では、短時間で道路が冠水し、車が水没することがあります。
特に注意したいのが、アンダーパスや高架下など周囲より低い道路です。「このくらいなら通れる」と進入すると、想像以上に水深が深く、車が動かなくなることもあります。
この記事では、車が冠水・浸水したときの対処法や水没時の脱出方法、緊急脱出用ハンマーの使い方を、国土交通省やJAFの情報をもとに解説します。
知っておきたいポイント
- 冠水した道路には原則として進入しない
- 浸水したら早めに車外へ脱出する
- ドアが開かなければ窓から脱出する
- 窓が開かなければ緊急脱出用ハンマーを使う
- フロントガラスは基本的にハンマーでは割れない
- 冠水した車は、水が引いてもエンジンをかけない
大雨で車が冠水・浸水したらどうする?
道路が冠水している場合は、無理に進入しないことが最も重要です。
冠水路は水が濁っていることも多く、見た目だけでは正確な水深を判断できません。特に、アンダーパスや高架下、立体交差など周囲より低い場所は冠水しやすいため注意が必要です。前の車が通れたとしても、自分の車も安全に通れるとは限りません。道路が冠水していたら、できるだけ迂回しましょう。
参考: JAF「自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?」
冠水した道路は何cmまで車で走れる?
JAFでは、一般的な乗用車で走行可能とされる目安を、車の床面が水に浸からない程度としています。
ただし、「●●cmまでなら安全」と考えるのは危険です。車種によって車高は異なり、水の流れや道路状況によっても危険性は変わります。
「水深●●cmまでなら大丈夫」と自己判断しない
冠水している道路には原則として進入せず、別のルートへ迂回しましょう。
車が水没したときの脱出方法
車が動かなくなり、車内に水が入り始めたら、できるだけ早く脱出します。国土交通省が案内している基本的な流れは次のとおりです。
STEP1|ドアが開くうちに脱出する
水位が低くドアが開く場合は、シートベルトを外して速やかに車外へ避難します。水位が上がるほど水圧でドアが開きにくくなるため、早めの行動が重要です。
STEP2|ドアが開かなければ窓から脱出する
ドアが開かない場合は、窓を開けて脱出します。浸水すると電気系統の異常でパワーウインドウが動かなくなる可能性があるため、窓が開くうちに脱出しましょう。
STEP3|窓が開かなければ緊急脱出用ハンマーを使う
ドアも窓も開かない場合は、緊急脱出用ハンマーで窓を割って脱出します。車の窓は丈夫なため、素手や身近な物で割るのは簡単ではありません。
STEP4|水位差が小さくなったら再びドアを開ける
窓も割れない場合は、車内への浸水が進み、車内外の水位差が小さくなったタイミングでもう一度ドアを開けます。水位差が小さくなると、ドアにかかる水圧も弱くなります。
参考: 国土交通省「台風の前に車両からの脱出手順の確認を!」
シートベルトが外れない場合は?
事故などの影響で、シートベルトが外れない可能性もあります。緊急脱出用ハンマーには、シートベルトカッター付きの製品もあります。購入する際は、窓を割る機能だけでなく、シートベルトカッターの有無も確認しておくと安心です。
車の窓はハンマー以外でも割れる?
「ヘッドレストやスマートフォンでも窓を割れるのでは?」と思う人もいるかもしれません。JAFでは、身の回りにある物を使って車の窓を割れるか実験しています。
| 使用したもの | JAFの実験結果 |
|---|---|
| ヘッドレスト | × 割れなかった |
| 小銭を入れたビニール袋 | × 割れなかった |
| スマートフォン | × 割れなかった |
| ビニール傘 | × 割れなかった |
| 車のキー | × 割れなかった |
| 緊急脱出用ハンマー | ○ 割れた |
実験では、窓を割ることができたのは緊急脱出用ハンマーのみでした。「いざとなれば身近な物で割れる」と考えず、専用のハンマーを備えておく方が安心です。
緊急脱出用ハンマーで窓を割る方法
緊急脱出用ハンマーを使う場合は、窓ガラスの中央ではなく四隅付近を狙うのがポイントです。ただし、すべての窓を割れるわけではありません。
フロントガラスは基本的に割れない
フロントガラスには、2枚のガラスの間に樹脂などを挟んだ「合わせガラス」が使われています。そのため、緊急脱出用ハンマーでも基本的に割ることはできません。
また、一部の車ではサイドガラスにも合わせガラスが採用されています。自分の車のどの窓が破砕可能なのか、事前に確認しておきましょう。
緊急脱出用ハンマーは車に備えておいた方がいい?
緊急脱出用ハンマーは普段使うものではありませんが、水没時には重要な脱出手段になります。
国土交通省では、市販の脱出用ハンマーについて試験を実施し、JISマークやGSマークを取得した製品、自動車販売店などが推奨する製品を勧めています。購入するときは、次のポイントを確認しておくとよいでしょう。
- JISマークやGSマークなどを確認できる
- シートベルトカッターが付いている
- 運転席から取り出しやすい
- 車内に固定しやすい
→ 国土交通省「豪雨に備えて、車に脱出用ハンマーを備えましょう!」
2026年8月13日~14日の千葉県を中心に発生した集中豪雨以降、欠品や品薄が続いていますが、「JIS規格適合品」の脱出用ハンマーを3つピックアップしてみました。
脱出用ハンマーは手の届く場所に置く
脱出用ハンマーをトランクの奥などに置いていては、緊急時に使用できません。運転席から手が届く場所など、すぐに取り出せる位置に固定しておきましょう。
水が引いても冠水した車のエンジンはかけない
水が引いたあとも、冠水した車のエンジンを自分でかけてはいけません。浸水した車は、電気系統の異常や車両の破損などが起きている可能性があります。
冠水・浸水した車は、水が引いても自分でエンジンを始動しない
自分で運転しようとせず、JAFなどのロードサービスや自動車販売店、整備工場へ相談しましょう。
参考: JAF「自動車が水没したときの対処と脱出方法とは?」
まとめ
- 大雨で道路が冠水している場合は、無理に進入しないことが何より重要です。
- 車内に水が入り始めた場合は、水位が低いうちにドアや窓から脱出しましょう。
- 窓が開かない場合は、緊急脱出用ハンマーが重要な脱出手段になります。
- ハンマーは車内に置くだけでなく、手の届く場所に固定し、自分の車のどの窓を割れるのか確認しておくことも大切です。
台風やゲリラ豪雨に備えて、車内の防災用品を一度確認しておきましょう。
参考・出典
この記事は、国土交通省およびJAFが公開している情報を参考に作成しています。
・国土交通省|台風の前に車両からの脱出手順の確認を!
・国土交通省|豪雨に備えて、車に脱出用ハンマーを備えましょう!
・JAF|自動車が冠水路や高潮で浸水してしまったら?
・JAF|水没時、何を使えば窓が割れるのか?
・JAF|自動車が水没したときの対処と脱出方法とは?
日常の道しるべノート 