レベル5大雨特別警報はどんな時に出る?発表基準や雨量の目安、レベル4との違いを解説

ニュースなどで「レベル5大雨特別警報」という言葉を目にすると、「いったいどれくらい雨が降ったらレベル5になるの?」と気になる方も多いのではないでしょうか。大雨の危険度がレベル4まで上がってくると、レベル5になる可能性も気になります。

しかし、レベル5大雨特別警報は「1時間に○mm以上」「24時間で○mm以上」といった、単純な雨量だけで発表されるわけではありません。気象庁は、降った雨が地表や河川にどのような影響を与えるのかを数値化し、さらに危険な地域の広がりや今後の雨の予想まで確認したうえで発表を判断しています。

この記事では、レベル5大雨特別警報がどのような基準で発表されるのか、気象庁は実際に何を見て判断しているのかを中心に、レベル4との違いもあわせて解説します。

別の記事では、一般市民の視点でとるべき行動を解説しています。必要な情報に応じてご確認ください。

レベル5大雨特別警報とは?2026年から何が変わった?警戒レベルと取るべき行動を解説

 

この記事のポイント
  • レベル5大雨特別警報は、「1時間に○mm降ったら発表」という単純な雨量基準ではない
  • 気象庁は、表面雨量指数・流域雨量指数などを使って、浸水や洪水につながる危険度を判断している
  • レベル5では、危険な状態が一定の範囲に広がっているか、さらに激しい雨が続く見込みがあるかまで確認される
  • 2026年5月29日から防災気象情報の体系が変わり、現在は「レベル5大雨特別警報」として発表されている
  • レベル5大雨特別警報は気象庁側が発表する情報で、市町村が発令する「緊急安全確保」とは別のもの
  • レベル5は避難を始める段階ではなく、危険な場所にいる場合はレベル4までに避難することが基本

まず知っておきたいのが、2026年5月29日から防災気象情報の名称や体系が大きく変わったことです。

防災気象情報と警戒レベルの関係を分かりやすくするため、情報名称そのものに「レベル」が付くようになりました。大雨に関する情報では、現在は次のように発表されます。

警戒レベル相当気象庁が発表する情報
レベル2レベル2大雨注意報
レベル3レベル3大雨警報
レベル4レベル4大雨危険警報
レベル5レベル5大雨特別警報

レベル4大雨危険警報は2026年から新設された情報で、重大な災害が起こるおそれが大きい危険な状況を知らせるものです。そして、そのさらに上に位置するのが「レベル5大雨特別警報」です。

参考:気象庁「新たな防災気象情報」

なお、2026年からは土砂災害については「レベル5土砂災害特別警報」として独立しています。そのため、この記事で扱う「レベル5大雨特別警報」は、主に大雨による浸水害や、洪水予報河川以外の河川での洪水リスクに関する情報として考えると分かりやすいでしょう。

レベル5大雨特別警報を発表するのは誰?

「自治体からレベル5が発令された」と表現されることもありますが、ここは少し注意が必要です。

レベル5大雨特別警報を発表するのは、地方気象台などの気象庁側です。

一方、市町村が住民に対して発令するのは、警戒レベル5の「緊急安全確保」です。

情報発表・発令する側
レベル5大雨特別警報地方気象台など
警戒レベル5「緊急安全確保」市町村

どちらもレベル5に関係する情報ですが、同じものではありません。気象庁からレベル5大雨特別警報が発表されたからといって、自動的に市町村から緊急安全確保が発令される仕組みでもありません。

参考:気象庁「特別警報、危険警報、警報、注意報、気象情報

レベル5大雨特別警報は何mm降ったら出る?

では、実際にどれくらい雨が降るとレベル5大雨特別警報が発表されるのでしょうか。結論からいうと、

「1時間に○mm降ったらレベル5」という全国一律の雨量基準はありません。

これがレベル5の発表基準を理解するうえで重要なポイントです。

たとえば同じ100mmの雨でも、アスファルトに覆われた市街地と、水が浸透しやすい土地では浸水の起こりやすさが違います。河川についても、川の大きさや流域、上流でどのくらい雨が降ったかなどによって危険度は変わります。

そのため気象庁は、単純な雨量だけではなく、

「降った雨によって、実際に浸水や洪水が起こる危険性がどこまで高まっているのか」

を判断しています。

気象庁は何を見てレベル5と判断している?

そこで使われる代表的な指標が、

  • 表面雨量指数
  • 流域雨量指数

の2つです。難しそうな言葉ですが、考え方はそれほど複雑ではありません。

浸水の危険を見る「表面雨量指数」

表面雨量指数とは、短時間の大雨による浸水リスクの高まりを数値化した指標です。

単純に降水量を計測しているわけではありません。雨水が地面に浸み込みやすいか、地表を流れやすいかといった土地の特徴や、地質、地形の傾斜なども考慮して計算されています。

たとえば、地面の多くがアスファルトで覆われた都市部では、降った雨が地中へ浸み込みにくく、道路や低い土地などに水が集まりやすくなります。表面雨量指数では、こうした「その場所に降った雨が、どの程度浸水につながりやすくなっているか」を見ています。

参考:気象庁「表面雨量指数」

河川の危険を見る「流域雨量指数」

もう一つが「流域雨量指数」です。こちらは、河川の上流域に降った雨によって、下流の洪水危険度がどれくらい高まるのかを見るための指標です。

雨水は降った場所からすぐに消えるわけではありません。地表や地中を通って川へ流れ込み、さらに下流へ流れていきます。そのため、自分がいる場所では雨が弱くなっていても、上流で大量の雨が降っていれば河川の水量が増えることがあります。

気象庁では、河川流域を1km四方の格子に分け、上流に降った雨が河川へ流れ込み、下流へ流れていく影響を計算しています。つまり、

表面雨量指数=浸水の危険を見る

流域雨量指数=河川の洪水の危険を見る

と考えると分かりやすいでしょう。

参考:気象庁「流域雨量指数」

地域によって基準値も違う

もう一つ大切なのが、これらの指数に対する基準値も全国一律ではないことです。

気象庁では過去の浸水害や洪水災害が発生したときの指数を調べ、その地域で「この値まで上がると災害が発生する危険性が高くなる」という基準を設定しています。そのため、

「雨量 → 災害の危険度 → 警報の基準」

という流れで判断されていると考えると分かりやすいでしょう。単に「○mm降ったからレベル5」ではなく、その雨がその地域にとってどれほど危険なのかまで見ているのです。

レベル5大雨特別警報の具体的な発表基準

では、レベル5大雨特別警報では実際にどこまで危険度が高まると発表されるのでしょうか。

2026年5月29日からの基準では、次の①または②を満たすと予想され、さらに激しい雨が降り続くと予想される場合に発表されます。

① 表面雨量指数では「おおむね30格子以上」

表面雨量指数が、「災害がすでに発生している可能性が極めて高い値」以上となる1km四方の格子が、おおむね30個以上まとまって存在すると予想される場合です。

② 流域雨量指数では「おおむね20格子以上」

流域雨量指数については、同じく「災害がすでに発生している可能性が極めて高い値」以上となる1km四方の格子が、おおむね20個以上まとまって存在すると予想される場合です。

さらに、どちらの場合も激しい雨がその後も降り続くと予想されることが条件になります。

参考:気象庁「気象等に関する特別警報の発表基準」

ここで注目したいのが、「一つの地点だけが危険ならレベル5」という仕組みではないことです。

極めて危険な状態になっている場所が一定の範囲にまとまって存在し、さらに雨が続く見込みまで確認したうえで、レベル5大雨特別警報の発表が判断されます。つまり、レベル5とは単に「ものすごい雨が降っている」というだけではなく、重大な浸水や洪水災害につながる危険性が広い範囲で極めて高まっている状態と考えた方が分かりやすいでしょう。

レベル4大雨危険警報とは何が違う?

レベル5の一つ手前にあたるのが「レベル4大雨危険警報」です。2026年5月29日から新たに運用が始まった情報で、重大な災害が起こるおそれが大きい危険な状況を知らせます。

こちらも表面雨量指数や流域雨量指数を使って判断され、それぞれの地域や河川に設定されたレベル4の基準値に到達すると予想される場合に発表されます。つまり、

レベル4=重大な災害が起こるおそれが大きい段階

レベル5=災害がすでに発生している可能性が極めて高いほど危険度が上がり、その状態が一定の範囲に広がっている段階

と捉えると分かりやすいでしょう。「レベル4で100mm、レベル5で150mm」といった単純な雨量の違いではありません。

レベル4大雨危険警報レベル5大雨特別警報
状況重大な災害のおそれが大きい災害がすでに発生している可能性が極めて高い
主な指標表面雨量指数・流域雨量指数表面雨量指数・流域雨量指数
判定地域・河川ごとのレベル4基準への到達予想極めて高い基準への到達+危険域の広がり
今後の雨基準への到達を予測激しい雨がさらに続く予想も必要

参考:気象庁「気象警報・注意報の種類」

キキクルを見るとレベル5の危険度が分かる?

気象庁が発表している「キキクル(危険度分布)」を見ると、こうした危険度の高まりを地図上で確認できます。大雨による浸水について確認できる「浸水キキクル」では、

  • 紫:危険
  • 黒:災害切迫

として表示されます。黒が表示された場所では、表面雨量指数の実況値がレベル5大雨特別警報の基準値に到達したことを示しています。

洪水キキクルについても、黒は流域雨量指数の実況値がレベル5大雨特別警報の基準値に到達したことを示します。

参考:気象庁「キキクル」

キキクルが黒でもレベル5大雨特別警報が出ないこともある

ここで少しややこしいのが、キキクルに黒が表示されたからといって、必ずレベル5大雨特別警報が発表されるわけではないことです。

キキクルでは、1km四方の格子ごとに実況の危険度を判定します。一方、レベル5大雨特別警報では、

  • 表面雨量指数ならおおむね30格子以上
  • 流域雨量指数ならおおむね20格子以上
  • さらに激しい雨が降り続く予想

という条件まで確認します。

そのため、一部の地域でキキクルが黒になっていても、レベル5大雨特別警報の発表条件には達していない場合があります。反対に言えば、レベル5大雨特別警報は、局地的な危険だけではなく、極めて危険な状況がまとまった範囲に広がっているかまで見て発表される情報なのです。

レベル5が出るまで避難を待ってはいけない

ここまで発表基準を見てくると、なぜ「レベル5を待って避難してはいけない」と言われるのかも分かります。

レベル5大雨特別警報が発表される段階では、すでに重大な浸水や洪水災害が発生している可能性が極めて高くなっています。内閣府も、警戒レベル5「緊急安全確保」の発令を待つのではなく、警戒レベル4までに危険な場所から避難することを呼びかけています。

レベル5は「そろそろ避難しよう」という段階ではありません。安全な場所まで移動すること自体が危険になっている可能性もあるため、レベル4の段階で避難を終えておくことが基本です。

参考:内閣府「避難情報に関するガイドライン」

まとめ

レベル5大雨特別警報は、「1時間に○mm以上降ったら発表」といった単純な仕組みではありません。気象庁では、表面雨量指数や流域雨量指数を使って、降った雨が浸水や洪水につながる危険性を判断しています。

さらにレベル5では、極めて危険な値となる1km格子が一定数まとまって存在することや、今後も激しい雨が続く予想まで確認したうえで発表されます。つまり気象庁が見ているのは、単なる「雨の量」ではなく、その雨によって災害が起こる危険性がどこまで高まり、どのくらいの範囲に広がっているのかです。

そして、レベル5は避難を始めるための情報ではありません。大雨が続きレベル4まで危険度が高まった場合には、レベル5になるのを待たず、自治体からの避難情報やキキクルなどを確認しながら早めに行動することが大切です。

大雨で道路が冠水し車が浸水したらどうする?水没時の脱出方法と緊急脱出用ハンマーを解説 大雨・台風で車が水没したら保険は使える?冠水・浸水時の車両保険を解説

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA